
結核は、「結核菌」という細菌が原因となって起こる病気で、主に肺で増殖し、肺炎のような症状を引き起こします。これが肺結核です。結核菌は肺以外にも、血液(粟粒結核)や脳(結核性髄膜炎)、腎臓(腎結核)、骨(カリエス)など人の体のほとんどの臓器で増殖するのが特徴です。結核菌が肺に感染し発病すると、咳や痰、微熱、寝汗、食欲不振、体重減少などの症状があらわれます。このような症状が2週間以上続くと肺結核を疑う必要があります。診断は、胸部レントゲン写真が基本となり、疑わしい影がある場合はさらに痰の検査を行います。
痰の検査は、3回の痰をそれぞれガラスの板に塗りつけ、染色し、結核菌の有無を顕微鏡で観察します。これを「喀痰塗抹検査」といいます。検査結果は、顕微鏡で観察された菌の個数に応じて段階分けした数値(ガフキー号数)で報告され、菌数の最も少ないガフキー1号から最も多いガフキー10号で表されます。例えばガフキー3号以上の場合、その痰の1ml中には数万個以上の結核菌が存在することになります。検査結果はその日の内に報告されます。感染性の診断にはこの検査の成績が最も重要で、菌がみつかった患者は感染源となる危険性があります。また、この検査で菌が見つからない場合でも、結核菌の遺伝子を検出する「PCR法」という数日で結果がわかる検査があります。この「PCR法」は検出率が高い方法ですが、死んだ菌でも陽性となることがあるので、結核の治療経過をみるのには適していません。これらの検査でも菌が見つからない場合であっても、目で見える量まで増やして菌を確認する「培養検査」を必ず行います。「培養検査」とは、畑に種を蒔いて野菜などを作るように、「培地」と呼ばれるものに痰を入れて菌を増やす方法です。しかし結核菌の増える速さは一般的な細菌(大腸菌など)と比べてとても遅く、診断までに時間がかかることが難点です。一般的な細菌の多くが24時間で充分な量に増えるのに対して結核菌は4週間から8週間もかかります。最近、これまでの半分の2週間から4週間で菌を増やすことができる方法が開発され、早い診断ができるようになりました。次に、この増やした結核菌を用いてどのような薬が効くかを調べる「薬剤感受性検査」という検査を行います。現在、結核菌に効く薬(抗結核剤)は10種類あります。それらの薬がそれぞれ入った培地を用いて、先ほどの培養検査と同じようにして結核菌を増やします。結核菌が増えなかった場合、その結核菌はその薬に効き、増えた場合、その薬に効かないということになります。最近では抗結核剤のうち、リファンピシンとイソニアジドという2種類のどちらの薬にも効かない結核菌(これを多剤耐性結核菌という)の増加が問題となっています。治療の中断や、不完全な治療がこの多剤耐性結核菌を作り出す原因と考えられています。「薬剤感受性検査」においてこれら2剤に効かない菌に感染していることがわかれば、治療が困難とされています。
このようにして、感染の拡大を防ぐためにわずかな結核菌でも発見を逃さないよう結核菌検査を行います。また、結核菌に感染しても多剤耐性結核菌を作り出さないためにも勝手に薬を飲むのをやめたりせず、完全な治療をすることが重要です。
次回は「結核の治療薬について」です。